よくあるご質問

下肢静脈瘤とは何ですか?
下肢静脈瘤は下肢静脈の弁が壊れて血液が逆流しておきる疾患で、足の血管が拡張して浮き出て見えるようになる病気です。一旦発症すると治りにくく、加齢とともに症状が悪化するため早めの予防と治療が大切です。下肢静脈瘤は内服薬や注射薬による治療法はありません。
下肢静脈瘤の原因は何ですか?
下肢静脈瘤はさまざまな理由で静脈が拡張してしまうために起こります。
原因の多くは表在静脈(大伏在静脈 ※1、小伏在静脈 ※2)の弁が壊れ、血液が逆流してしまうことによります。逆流した血液が表在静脈の枝に流れ込んでくると拡張して静脈瘤になります。
表在静脈の弁が壊れる原因はわかっていませんが、体質が影響していると考えられています。また、長時間の立ち仕事、妊娠・出産などが静脈瘤を進行させます。他にはホルモンなどが原因で静脈が拡張することがあります。
下肢静脈瘤にはどのような症状がありますか?
症状は最初のうちは静脈の血管が膨らむだけで無症状ですが、進行すると様々な症状が出現します。 足のだるさやむくみ、ピリピリした痛み、足がつる、かゆみや湿疹、皮膚の色素沈着などを生じます。さらに進行すると静脈瘤内で血液がよどむため血栓ができ、皮膚とともに腫れを生じることがあります(血栓性静脈炎)。最も進んだ状態では皮膚の壊死や潰瘍を生じます。
下肢静脈瘤にはどのような種類がありますか?

弁が壊れている場所や血管の拡張程度などによって、いろいろなタイプがあります。大別すると以下の4種類に分類されます。

  1. 伏在静脈瘤(ふくざいじょうみゃくりゅう)
    足の皮と筋肉の間を走行する表在静脈(大伏在静脈 ※1、小伏在静脈 ※2)の血管がこぶのように膨らむものです。
  2. 側枝静脈瘤(そくしじょうみゃくりゅう)
    伏在静脈から枝分かれした部分が拡張してきたもので、ふくらはぎに比較的多くみられます。
  3. 網目状静脈瘤(あみめじょうじょうみゃくりゅう)
    皮膚のすぐ下にある細い血管が網目状に広がり、血管が青く見える症状です。
  4. クモの巣状静脈瘤(くものすじょうじょうみゃくりゅう)
    網目状静脈瘤よりもさらに細い血管が拡張することで起き、血管は赤紫色に見える症状です。
下肢静脈瘤は薬で治りますか?
下肢静脈瘤は飲み薬(内服薬)や注射薬による治療法はありません。
下肢静脈瘤は遺伝しますか?
下肢静脈瘤に明確な遺伝性は認められていませんが、両親や親族に下肢静脈瘤を発症した人がいると下肢静脈瘤になりやすくなるようです。先天的な要素よりも生活習慣などの方が影響が大きいので、長時間の立ち仕事を避けたり、ウォーキングなどふくらはぎを刺激する運動や血行を良くする日常的なケアで予防を考えた方が良いでしょう。
下肢静脈瘤はうつりますか?
下肢静脈瘤は下肢静脈の弁が壊れて血液が逆流しておきる疾患なので、うつりません。下肢静脈瘤は皮膚がぼこぼこ浮き上がったり、悪化するとただれてきたりするので感染症と間違われることがありますが、菌やウイルスなどが原因の病気ではないので患部に触っても感染しません。
下肢静脈瘤になりやすい職業はありますか?
美容師、調理師、教師、看護師、キャビンアテンダント、レジ担当、パティシエ、パン職人など長時間の立ち仕事をする人に起こりやすい疾患です。
妊娠すると下肢静脈瘤になりますか?
妊娠すると黄体ホルモンが増加しますが、この黄体ホルモンは血管内の弾力を低下させ、静脈弁の働きも鈍くします。このため血液が心臓に戻りにくくなり、下肢静脈瘤になる人がいます。また、1人目よりも2人目、3人目と妊娠・出産の回数が増えるほど下肢静脈瘤になる人も増える傾向にあります。
妊娠中の下肢静脈瘤予防としては長時間の立ち仕事や同じ姿勢でいることは避け、寝るときや座るときには足を心臓よりも高くすると良いでしょう。マタニティ用の弾性ストッキングもあります。
下肢静脈瘤は自然に治りますか?
下肢静脈瘤が自然に治ることはほとんどありません。特に困った症状がないからといって放っておくと年齢とともに徐々に悪化します。少しでも気になる症状があれば、下肢静脈瘤の専門医による診察を受けることをおすすめします。
下肢静脈瘤の検査は痛いですか?
一般的な検査は超音波検査なので、痛みもなく簡便に行えます。超音波検査で弁不全の存在範囲や原因となる静脈(代伏在静脈、小伏在静脈、交通枝)を検索し、静脈瘤の正しい病態を把握することで治療方法や手術をするかどうかを決定します。
深部静脈血栓症による静脈拡張(二次性静脈瘤)が疑われる場合は造影CTや下肢静脈造影を行うこともあります。詳しくは「下肢静脈瘤の診断のページ」をごらんください。
下肢静脈瘤の治療方法にはどのようなものがありますか?
下肢静脈瘤の治療は下肢静脈瘤の種類や症状に応じて異なります。大きく分けて「保存的治療」と「手術治療」があり、保存的治療では医療用弾性ストッキングを使用します。手術治療にはいくつか種類がありますので、詳しくは「下肢静脈瘤の手術治療のページ」をごらんください。
横浜戸塚下肢静脈瘤センターはどのような施設ですか?
横浜戸塚下肢静脈瘤センターは下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の実施基準による実施施設として認定されている病院です。2011年1月から保険適応になるレーザー機材が認可され、当院は横浜市で4番目に導入しました。経験豊富な医師による下肢静脈瘤レーザー治療施設で、患者様のライフスタイルにあった治療を提供します。日帰り治療でも入院治療でも治療可能です。麻酔科専門医によるきめこまやかな術中管理をさせていただきます。 また2015年9月からは、より負担の少ない高周波による血管内焼灼機器を導入いたしました。
血管内レーザー治療とはどのような治療方法ですか?
血管内レーザー治療(EVLT:Endovenous Laser Treatment)は弁不全を起こして逆流している静脈内に細いレーザーのファイバーを入れ、血管の壁にレーザーを当てて静脈を熱で焼くことで閉塞させる治療法です。レーザーで焼かれた静脈は閉塞して血液が流れなくなり、その後、数か月かけて線維化します。長年、下肢静脈瘤の根治的な手法として行われてきたストリッピング手術(静脈抜去術)と、ほぼ同じ効果が得られます。
皮膚を切らずに細い針で皮膚の上から静脈を指してファイバーを静脈の中に入れる方法(穿刺法)と、足の付け根を2~3センチ切開し、高位結紮術を行ってから、足の付け根から足先に向かってファイバーを入れる方法(高位結紮術併用法)があります。
日本では2011年1月1日より「ELVeSレーザー」が薬事承認され、この装置を用いた静脈瘤レーザー血管内治療が保険適応となりました。
血管内レーザー治療のメリットは何ですか?
レーザー治療は従来のストリッピング手術に比べて、手術時間が短い、小さな傷で行える、術後の痛みが少ない、日常生活への復帰が早い、などの利点があります。静脈瘤自体は今までどおり切除を行いますが、小さな傷でほとんど目立ちません。横浜戸塚下肢静脈瘤センターでは1泊2日の短期入院でより高い治療効果が得られるように努力しております。
血管内高周波治療とはどのような治療方法ですか?
血管内高周波治療は弁不全を起こして逆流している静脈内に細いカテーテルを入れ、血管の壁に120℃の高周波(ラジオ波)を当てて、静脈を熱で焼くことで閉塞させる治療法です。
焼灼(熱で焼く)エネルギー源がレーザーでなく高周波と言う違いであり、手術方法は基本的にレーザー治療と同じです。従来から当院で行っているレーザー治療と同等以上の治療効果が得られ、さらに術後の痛みや腫れ、皮下出血が少ないなど、より負担の少ない治療となります。
日本では2014年6月よりこの機器および治療法が薬事承認され、この機器を用いた静脈瘤の血管内治療が保険適応となりました。なお、治療にかかる費用はレーザー治療とまったく同じです。
接着材による塞栓術は、血管内焼灼術とどのような違いがありますか?
血管内焼灼術は、静脈を高熱で内側から焼くことにより血管を詰まらせる方法ですが、接着材による塞栓術は熱を使用せず、静脈内に接着材を注入することによって閉塞させて逆流を止める方法です。接着材は古くから人体にも使用してきた経験(脳内の血管など)があり安全性に問題はありません。
接着材を注入する部位だけの局所麻酔で手術ができますので、比較的軽症の静脈瘤の方の日帰り手術に適しています。
今後、下肢静脈瘤の手術治療はどうなっていくのでしょうか?
いままで血管内焼灼術をおこなっていたケースが、すべて接着材による塞栓術に代わっていくわけではありません。静脈瘤の状態、合併する疾患、アレルギーの有無などによりどちらの治療法が適しているかを検討し、ご本人の希望も伺った上で手術方法を決めていきます。

※1 大伏在静脈: 足首から太ももの内側を通り、足の付け根で深部静脈に合流する静脈
※2 小伏在静脈: ふくらはぎの後面を通り、膝の裏で深部静脈に合流する静脈

診療に関しては外来受診日に気軽にご相談ください。
お電話にてご連絡の上、下肢静脈瘤の診察希望の旨をお伝えください。

お問い合わせ

医療法人横浜未来ヘルスケアシステム 戸塚共立第2病院
横浜戸塚下肢静脈瘤センター

0570-00-3205

受付時間 平日8:30~12:00/13:30~16:30 土曜8:30~12:00
休診日:日曜、祝日

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